BROMPTON モデル変遷(随時更新)
概要
趣旨
BROMPTON はアンドリュー・リッチーが1975年に考案した折りたたみ自転車で、1981年に最初の市販モデルを発売して以来その優れた折りたたみ機構を全く変える事なく少しずつ改良を重ねて現在も製造されています。
30年以上に渡る BROMPTON のモデル変遷を、ネット上の資料を判る範囲で調査し、可能な限り年代別にまとめていこうと思います。
- 年代の編集は日本に正規輸入されたモデルを基本にし、シリアルナンバー等で製造年が特定できた場合はそちらを優先する事にいたします。
- 分類は実物および実物写真を優先し、文献やインターネット記事などの文字による情報は参考に留めます。
情報募集
基本的にインターネット上で得られた情報を記述していきますが、このページをご覧になって記述の間違いに気付かれたり更に詳しい情報をお持ちの方がおられましたらどんどんご指摘&情報提供をお願いいたします。
また、現物を所有されておられる方におかれましては重要部分の写真の提供をいただきたく、ご協力よろしくお願いいたします。
モデル変遷
プロトタイプ
Mk1
1981 から製造された最初期のモデル。
メインフレームがアーチ状ではなく「への字」状になっているのが特徴。
生産数は450台程度?
初期型
最初の30台? 折り畳みヒンジ&ストッパーの固定方法が後のタイプと違う。
中期型
折りたたみ固定方法がクランプ方式になる。クランプレバーが金属製。
後期型
折りたたみ固定クランプレバーが黒い棒状のものになる。
Mk2
1988-2000 頃に生産されたモデル。
Mk1から大幅な設計変更がなされた。その基本構造は30年以上経った現行モデルとも殆ど変わらず非常に完成度が高い。
初期型
1988
Mk2製造初年の1988年内に製造されたものに変速ワイヤーの取り回しが異なるモデルがある。
- リムがRIGIDA製(Mk1-1989?)
- ブレーキCLB
- リアキャリアが鋼管溶接メッキ仕上げ
1991
極初期にオーディオメーカー NAIM の販売代理店を通して NAIM-Brompton が日本に正規輸入されていた。
1991/03-08製造
2020/01/26 BROMPTON Meeting in KOBE に NAIM-Brompton で参加された方がいらして、詳しいお話しは聞けませんでしたが口頭でblogへの写真掲載を許諾いただいたのでアップいたします。
- Mk2とそれ以降を見分ける特徴、折り畳みヒンジがフレーム・ハンドル共に薄型な事。ステム締付ナット下側の部品形状が異なる(ステムの径が現行よりも細い?)。(フロントキャリアブロックは近年のもの。)
- Mk2初期型最大の特徴、リアキャリアが鋼管メッキでピカピカ。ダイナモは非純正?テンショナーにチェーン外れ防止の皿が無い(これが標準?)。リアフェンダーにフラップなし。
- 珍しいNAIM-BROMPTONロゴ。BB椀が鉄製。クランクも違う?
- フロントフォークのフックが針金一体型。リアライトとリフレクターが別パーツ。
- ハンドル締付ボルト部分の角度が斜めになっている。
- 当時の内装5速は左右両側にシフトワイヤーが出ていたため、5速モデル用のためにリアフレーム左側にもシフトワイヤー偏向パーツのブラケットがある。フェンダーに2本の筋。
後期型
- リアキャリアがアルミ鋳造製に(1993?)
- 5速変速機のワイヤーが片側のみになる(1994?)
- ブレーキがSACCON製に(1994)
- フェンダーが筋無しで断面が丸みのあるタイプに(1997)
- フェンダーが筋無しで断面が角ばったタイプに(1998)
- リアフェンダーにフラップ装備(2000?)
Mk3
2000-2004 頃のモデル。
フレーム設計の面でMk2との違いは少ないが生産体制が大幅に見直されたという。このモデルから取付部品に BROMPTON ロゴ入り純正品が多用されるようになる。
製造年数が短くまた Sturmey-Archer の倒産による部品供給停止の紆余曲折もありMk4へ至る過渡的なモデルといえる。
2000
- ハンドルポストの折りたたみヒンジ強化
- ハンドルグリップがスポンジタイプに
- ブレーキが Saccon から BROMPTON ロゴ入りポリッシュ仕上げに
- フロントライト basta 425 リアライト basta SL6?
- 付属インフレーターがZefal BROMPTON ロゴ入りに
- 折り畳みばらけ防止のストップディスク形状変更
- ハンドルバー変更(台湾製から本国製?)
- 純正タイヤ(黄色ラベル)を標準装備
2000/05-09製造 旧型 Sturmey-Archer 搭載のMk3。
出典:https://www.ebay.com/
引用箇所:Brompton Folding Bike M3L Red | eBay
- 全体像、リアフレーム部分を拡大してみると外装変速機の台座が無い事を判別できる
- ハンドルポスト折り畳みヒンジが強化され厚くなっている。メインフレーム側ヒンジは薄いまま。ロゴ入りブレーキキャリパー。フォーク部分のフックが針金製(フェンダーは後年製に交換されている)
- Sturmey-Archer 製の変速機(グリップは非純正と思われる)。
2000/09
Sturmey-Archer 倒産。部品供給停止により5速モデル廃止(いつ?)
2001
- 変速機がSRAM 3速に
- リアフレームに外装2速用の取付台座追加(4月以降生産のもの)
- リアスプロケット T3は13T、L3は14T
- フロントフォーク左側のフックが樹脂製に(11月?)
2001/10製造 変速機がSRAMに変更されたモデル。
- 全体像、リアフラップがない。リアフラップは何故かMk2時代の2000年頃から装備された物とない物が存在するようです。
- フックが針金製
- SRAM変速ワイヤー。リアフレーム上に外装変速用の台座が見える(外装変速搭載モデルの販売開始は2002年)まだマイナスネジが多く使われていた。
2002
- T6(SRAM 内装3x外装2)発売
2002/06製造
- 全体像。わかりにくいがフロントキャリアブロックが旧型(フロントライトは非純正、リアライトは後年製)
- ブレーキワイヤーにゴムブーツなし・フックが樹脂製・リアハブのチェーン脱落防止皿がアルミ製・リアフラップあり
2003
- QUEEN'S AWARD FOR EXPORT ステッカーが無くなる
- リアハブのチェーン脱落防止皿が樹脂製に?
QUEEN'S AWARD FOR EXPORT ステッカー
日本で英国製 BROMPTON の正規輸入が始まった2000年度?から2003年頃までの日本輸入モデルにはメインフレームに「QUEEN'S AWARD FOR EXPORT 1995」のステッカーが貼られていた。ネットで検索しても日本国外の同時代モデル(個人輸入含む)にはこのステッカーは貼られていないようだが、日本モデル専用かどうかは不明。
Mk3 2002 T3 に貼られたステッカー
Mk4
2004-現在
現在のフレームモデル。
メインフレーム設計変更によりホイールベースが2cm延長された。
2005年のチタン・S、Pハンドルモデル導入からを Mk4と見なす事も多いが、当サイトではメインフレーム設計変更をメジャーナンバー変更と見なし2004年後半モデルからをMk4といたします。
これ以降BROMPTONは基本構造を変えないまま毎年のように改良を重ねて現在に至り、たとえばMk3時代のモデルと現行モデルを比較すると見た目は殆ど変化が無いが使用部品は一つとして同じ物が無いと言える程の改良がなされている。
Mk3 Mk4 フレームの差異
Mk4のフレームはどこが改良されたのかを写真で見てみる
緑は 2002 Mk3 T3 、RAWカラーは Mk4 M3L (フレームナンバーから2011と推定)
- Mk4のメインフレームヒンジが強化されている。
- 後ろ三角を畳んだ状態でタイヤの重なりがMk4の方が少ない。その分ホイールベースが長くなっている。
- インフレーターのケージの形状が異なる。
2004-2005
- メインフレームの折りたたみヒンジ強化
- ホイールベース2cm延長
- インフレーター取付ハンガーが丸穴タイプから針金タイプに変更
- ブレーキにケーブル保護ブーツ装備
- ダイナモが AXA IQ から AXA HR に変更
- フロントキャリアフレームの軽量化
- ハンドルキャッチの形状変更
2005-2006
- ハンドルタイプSタイプPタイプ追加
- S・Pタイプ用のブレーキレバー
- チタンモデル登場
- Sタイプ対応バッグ
- 3速モデルの変速機が Sturmey-Archer (BSR) に変更
- リム変更(2005?)
2006-2007
- リアブレーキがデュアルピボットに
- フェンダーに2本線
2007-2008
- リアフレーム固定フック装備
- シートクランプクイックの形状変更
- Lモデルにバッテリーリアライト(オーバル型)装備
- 純正タイヤ側面に反射白帯
- ホイールリフレクター廃止
- リアキャリアが新型に(2008後期)
2007/08製造 08年モデルとして販売された。
- この写真一枚から、新型シートクランプ・リア固定フック・旧型エラストマ・旧型リアキャリア・この時期のリアライト形状が判別できる。
2008年発売とされる「日英修好通商条約調印150周年記念モデル」には新型リアキャリアが装備されているのを確認できる。
2009
- 本体色が艶無しに
- エラストマーの硬さ・形状変更
- 左クランク内側に折りたたみペダル干渉防止突起
- ブレーキ本体色がポリッシュからチタンぽい色に
- ブレーキシューがカートリッジ式に
- 純正タイヤの側面がグレーに
- 6速モデルの内装変速機が Sturmey-Archer BWR に
2010-2011
- サドル変更
- ロゴがイラスト入りに
- 右ペダルの踏面がアルミ製に
- S-SUN フロントライト
- Sモデルのグリップ変更(ハンドルが長くなる?)
- Rモデル廃止(2010後期)
- MモデルのブレーキレバーがS・Pモデルと統一化(2010後期?)
2012
- 折りたたみペダルの形状変更
- 3速モデルのチェーン幅が1/8"から外装モデルと同じ3/8"に変更
- 3速モデルのチェーン幅変更に伴いリアスプロケットが薄型に
2013
- ブレーキレバー変更(本体がアルミ製、レバー黒)
- リムがダブルウォールに、後輪スポークがダブルバテッドに
- タイヤのロゴデザイン変更
- リフレクター装備、ライトはオプションに
2014
- フロントキャリアブロックは標準装備
- チェーンリングがクランクと一体型から分割型に
- Rモデル復活
2015
- サドルハイトインサート付属
- 折りたたみペダルのプラ部分を改良
- シフトケーブルプーリー形状変更
2016
- 金属製シリアルナンバープレート
- ローラーの材質&形状変更
- ケーブルプーリー形状変更(角が丸まったタイプに)
- フレームのロゴステッカーが小型に
- 付属インフレーターのロゴ変更
2017
- Mタイプのハンドルポストが3cm長くハンドルバー高さ3cmが短くなる
- ブレーキレバーとシフターが一体型に
- グリップがロックオングリップに
- テンショナーナットの頭が円形になる
2018
- ブレーキ変更(黒)、シューにロゴ入り
- ブレーキ変更に伴いフレームのブレーキ取付穴サイズ変更(Φ6→Φ8)
- タイヤがSCHWALBE マラソンレーサーに変更(M、Pハンドルモデル) 純正タイヤ廃版
2020
- Pハンドル廃止
Mk5
電動モデルの事をMk5というらしい(2019年時点で日本未発売)
備考
参考文献
David Henshaw 著『BROMPTON BICYCLE』2010/2017 Excellent Books
ISBN: 978-1-901464-25-2
編集履歴
2020/05/11 Mk2ブレーキ記述 2015ケーブルプーリー
2020/05/10 2005 ブレーキレバー 。Mk2年代記述変更。参考文献等。2010-2011年度統合。20096速モデル。
2020/05/09 2002 写真追加
2020/05/07 2000 2001 2008 写真引用ほか
2020/05/06 編集履歴を追加
2020/05/06 2011 Mモデルのブレーキレバー
2020/05/06 2011/2014 Rモデル廃止記述の追記
2020/05/06 2008 リアキャリア
2021/03/30 2012 チェーン幅